本研究では、ディープラーニングを用いてKoopman演算子を推定する手法を提案している。Koopman演算子は、非線形力学系を線形表現に変換することで、その動力学を理解しやすくする理論的枠組みである。
具体的には、2次元の非静水圧Euler方程式で記述される理想大気力学システムを対象とする。まず、密度、水平速度、鉛直速度、温度の4つの変数からなる状態ベクトルを生成する。次に、オートエンコーダ構造を用いて、非線形変換と線形Koopman演算子の推定を行う。さらに、再構成誤差、予測誤差、線形性誤差の3つの損失関数を組み合わせることで、Koopman演算子の推定精度を高めている。
実験では、この手法を用いて温度変数のみを推定することで、良好な再構成と1ステップ先の状態予測が可能であることを示した。一方で、完全な状態ベクトルの推定には課題が残されており、今後の研究課題として議論している。
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