本研究は、世界中の上場企業と日本の上場企業を対象に、企業に関する前向きなニュースが、その企業自身の株価や取引先企業の株価にどのような影響を及ぼすかを分析した。
分析の結果、以下のことが明らかになった。
前向きなニュースは、その企業自身の株価を、ニュース公開前から上昇させる。これは、ニュース公開前に非公式なチャネルを通じて情報が拡散しているためと考えられる。
前向きなニュースは、その企業の取引先企業(サプライヤーや顧客)の株価も、ニュース公開前から上昇させる。これは、企業間の市場価値の伝播を示唆している。
一般に、ニュース公開後の株価上昇率は、公開前の上昇率よりも大きい。この公開後の上昇率と公開前の上昇率の差は、非公式な情報拡散を控除した上での、前向きなニュースの純粋な効果と考えられる。
ただし、日本企業のサプライチェーンでは、この傾向が逆転する。すなわち、公開後の株価上昇率は公開前よりも小さくなる。これは、日本企業のサプライチェーンが世界的なサプライチェーンよりも強固であり、そうした知識が一部の投資家にしか共有されていないためと考えられる。
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by Hiroyasu Ino... às arxiv.org 09-11-2024
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