Kernekoncepter
単結晶 Weyl 酸化物 SrRuO3 の単層において、微小な酸素原子変位によって生じるスピンベリー曲率が、低電流密度でのスピン軌道トルク磁化反転を誘起することを実証した。
Resumé
SrRuO3 単層におけるスピン軌道トルク磁化反転
本論文は、単結晶 Weyl 酸化物 SrRuO3 (SRO) のエピタキシャル単層における、電流誘起スピン軌道トルク (SOT) 磁化反転を実験的に実証した研究論文である。
電流誘起 SOT 磁化反転は、MRAM などの高性能スピントロニクスデバイスを実現する上で有望な技術である。
従来の強磁性体/重金属二層構造では、反転に必要な電流密度が高く、実用上の課題となっていた。
単層構造での SOT 磁化反転は、構造の簡素化という点で有望であるが、反転対称性の意図的な破壊が必要となる。
本研究では、SRO の結晶品質を維持したまま、固有のスピンホール効果 (SHE) の生成と分布を制御することで、低電流密度での単層磁化反転を実現することを目的とした。
MBE 法を用いて、STO (001) 基板上に 26 nm 厚の SRO 薄膜をエピタキシャル成長させた。
SRO/STO 試料をフォトリソグラフィーと Ar イオンミリングにより、チャネル幅 10 μm、長さ 40 μm のクロスバース構造に加工した。
SOT 磁化反転測定は、外部磁場と電流パルスを印加しながら、ホール抵抗を測定することで行った。