Kernekoncepter
量子系と非マルコフ性の環境との相互作用により生成される量子もつれの最大値を測定することで、その環境の非マルコフ性の度合いを定量的に評価できる。
Resumé
本研究では、量子系と非マルコフ性の環境との相互作用により生成される量子もつれの最大値を測定することで、その環境の非マルコフ性の度合いを定量的に評価する手法を提案している。
具体的には以下の通りである:
- 量子系(量子ビット)と環境(ロレンツ型スペクトルを持つ連続モード)の相互作用を記述するハミルトニアンを定式化した。
- 量子系が初期状態で励起されている場合、量子系と環境の間で励起が共有されることで量子もつれが生成される。この量子もつれの最大値は、環境の非マルコフ性の度合いに依存する。
- 数値シミュレーションの結果、量子系と環境の結合強度が強い(非マルコフ性が高い)ほど、最大量子もつれの値は大きくなることが示された。
- 超伝導量子ビットと読み出し共振器(環境)を用いた実験により、理論予測を実証した。実験結果は、最大量子もつれの値が結合強度の増大とともに単調に増加することを示している。
このように、量子系と環境の相互作用により生成される最大量子もつれの値を測定することで、環境の非マルコフ性を定量的に評価できることが明らかになった。従来の手法と比べ、本手法は初期状態の比較や補助量子ビットの導入が不要であるという利点がある。
Statistik
量子ビットの励起状態と環境の真空状態の重ね合わせ状態は、|ψ(t)⟩= e^{-κt/4}{[cos(Ωt) + κ/(4Ω)sin(Ωt)]|e,0⟩ - i(λ_0/Ω)sin(Ωt)|g,1⟩}で表される。
量子もつれの大きさを表すコンカレンスは、C = ⟨ψ(t)|ψ(t)⟩sin(2θ)で与えられる。ここで、θ = arctan[(4λ_0sin(Ωt))/(4Ωcos(Ωt) + κsin(Ωt))]。
最大量子もつれ(Cmax)は、ξ = 4λ_0/κの増大とともに単調に増加する。
Citater
"量子系と環境の相互作用により生成される量子もつれの最大値を測定することで、その環境の非マルコフ性の度合いを定量的に評価できる。"
"最大量子もつれの値が結合強度の増大とともに単調に増加することを実験的に示した。"