本論文では、Darcy方程式を例に、楕円型偏微分方程式の解を局所的および大域的な寄与に分解する新しい多スケール有限要素法を提案している。
主な特徴は以下の通り:
圧力変数uと流速変数λを独立に扱い、さらに第3の変数ρを導入することで、対称正定値な離散化システムを得る。従来の多スケール有限要素法では鞍点問題となり、効率的な数値解法が困難であった。
λの近似には、新たに定義したDirichlet-to-Neumannオペレーターに基づく多スケール基底関数を用いる。これにより、物理的性質をより適切に反映した近似が可能となる。
離散圧力変数uと離散流速変数λの両者について、コース分割の骨格上で弱い連続性を課す。これにより、外力に対して局所的な流れの釣り合いが成り立つ。
抽象的な適合条件の下で、提案手法の well-posedness と最良近似性を示す。また、具体的な近似空間の例を示し、最適収束性を証明する。
提案手法とMsFEM法との関係を明らかにする。
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