本研究では、波長分割多重(WDM)を用いた光ネットワーク通信を対象とし、受信機が自身のWDMチャネルにしかアクセスできない状況を考える。クロスフェーズ変調(XPM)による歪みを位相雑音としてモデル化し、粒子フィルタリングを用いた joint検出・復号(JDD)による相互情報量(MI)の下限を先行研究で導出している。しかし、具体的な符号化変調方式とJDD受信機の組み合わせは明らかではない。そこで本研究では、オフザシェルフの符号化方式と組み合わせやすい逐次干渉除去(SIC)受信機を提案する。
提案手法では、まず振幅成分の検出・復号を行い、その結果を位相成分の検出に利用する2段のSICアルゴリズムを用いる。振幅成分には確率的シェイピングを施したスター型QAM、位相成分には離散化を行った変調方式を採用する。シミュレーション結果より、32リング、128位相のスター型QAMを用いて16段のSICを行うことで、JDDと同等の性能が得られることを示した。また、2-4段のSICで実用的なトレードオフが得られることを確認した。
今後の課題としては、単一チャネルのデジタルバックプロパゲーション(DBP)を組み込むことで、自己位相変調(SPM)による非線形位相雑音やアダイティブ雑音の影響を考慮することが挙げられる。
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