本論文では、パラメータ適応型の近似MPC (Approximate MPC: AMPC)を提案している。従来のAMPCは、大規模なデータセットを事前に生成し、ニューラルネットワーク (NN)を学習することで、高速な制御入力の近似を実現していた。しかし、実システムのパラメータを変更する際には、データセットの再生成とNNの再学習が必要となり、非常に時間がかかるという問題があった。
提案手法では、NNによる最適制御入力の近似に加えて、最適制御入力の感度情報もNNで近似する。これにより、パラメータの変化に対して、最適制御入力を線形予測で修正することができる。つまり、データセットの再生成やNNの再学習を行うことなく、パラメータ変動に適応できるのが特徴である。
理論的には、提案手法が安定性を保証するための条件を示している。また、シミュレーションと実機実験により、提案手法の有効性を実証している。特に、2つの異なるパラメータを持つ実機の倒立振子システムで、同一のNNを用いて制御できることを示している。一方、パラメータ変動に対応できない従来のAMPCでは失敗している。
以上より、提案手法は、実システムのパラメータ変動に柔軟に対応でき、AMPCの実用化に大きく貢献すると考えられる。
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