本研究では、COVID-19の治療のための薬剤リポジショニングを探索するために、分子ドッキングとマシンラーニング回帰アプローチを組み合わせた。
まず、ZINCデータベースから5,903の承認済み薬剤を抽出し、COVID-19の主要な標的タンパク質であるスパイク(S)、メインプロテアーゼ3CL(3CLpro)、およびヌクレオカプシド(N)タンパク質に対する結合親和性を分子ドッキングで評価した。
次に、MACCS指紋特徴量を用いて、決定木回帰(DTR)モデルを含む複数のマシンラーニング回帰モデルを構築し、これらのモデルの予測性能を比較した。その結果、DTRモデルが最も優れた性能を示し、スパイク、3CLpro、ヌクレオカプシドタンパク質に対するR2値がそれぞれ0.95、0.97、0.93、RMSE値が1.66、1.57、1.49と最も高い精度を達成した。
最後に、分子ドッキング解析により同定された上位5つの有望な阻害剤候補化合物について、物理化学的特性を詳細に分析した。これらの化合物は-19.7 kcal/molから-12.6 kcal/molの範囲の高い結合親和性を示し、COVID-19の治療薬としての可能性が示唆された。
本研究は、COVID-19に対する効果的な治療薬の発見に向けて、in silico手法を活用した薬剤リポジショニングの有効性を実証した。提案したアプローチは、他のウイルス性疾患や医療分野においても応用可能であり、パンデミックへの迅速な対応に貢献できると考えられる。
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