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古典電磁気学における電磁双対性の対称性は、量子論においては背景時空の重力場の影響により破れ、電荷の保存則が成り立たなくなる。
本論文は、古典電磁気学における基本的な対称性である電磁双対性が、量子論においては破られることを論じている。電磁双対性とは、電場と磁場を交換しても、電磁気学の法則(マクスウェル方程式)は変わらないという対称性である。古典的には、この対称性から電磁場の特定の状態を表す物理量(ネーター電荷)が保存されることが導かれる。
しかし、論文では、量子論的な効果、特に真空のゆらぎを考慮すると、この電荷の保存則が破られることが示されている。これは、背景時空の重力場の影響によるものであり、特に時空の曲率を表す量であるチャーン・ポントリャーギン数がゼロでない場合に起こる。
論文では、この量子異常を導出するために、二つの異なるアプローチが用いられている。一つは、場の演算子の期待値を計算する際に現れる紫外発散を正則化するという、場の量子論における標準的な手法を用いる方法である。もう一つは、ファインマンの経路積分を用いる方法である。どちらのアプローチを用いても、同じ結果が得られることが示されている。
この結果は、量子電磁気学における新しいアノマリーであり、重力場と電磁場の相互作用に関する重要な知見を与えるものである。