本論文は、戦略的エージェントが存在する状況下で、稀少な資源を効率的に配分する問題を検討している。
まず、一般的に用いられる先着順の順次オファー・メカニズムでは、初期の拒否が情報カスケードを引き起こし、非効率な資源の無駄が生じることを示す。
次に、バッチングメカニズムを提案する。エージェントはバッチ内で過半数が受け入れる場合にのみ、ランダムに資源が割り当てられる。適切なバッチサイズを設定することで、エージェントの私的情報を引き出しつつ、インセンティブ整合性を保つことができる。
具体的には、バッチサイズは失敗するごとに徐々に増加する。これにより、できるだけ多くの情報を引き出しつつ、エージェントの戦略的行動を歪めないようにする。
さらに、医療政策の観点から、本研究の知見は臓器配分の大量廃棄問題に示唆を与える。特に、情報カスケードによる廃棄は、適応的な同時オファー・メカニズムの適用によって軽減できる可能性がある。
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