Concepts de base
数値的に自明なチャーン類を持つネフなベクトル束は、商が類似のスロープを持つ直線束の列であるようなフィルトレーションによって近似できる。
Résumé
この論文は、滑らかな代数多様体上の準安定ベクトル束の近似に関する研究論文です。ParameswaranとSubramanianによる曲線の場合の先行研究を一般化し、任意の次元で成り立つ結果を示しています。
研究目的
- 数値的に自明なチャーン類を持つネフなベクトル束が、商が類似のスロープを持つ直線束の列であるようなフィルトレーションによって近似できることを証明する。
- この結果を用いて、S-基本群スキームのホモトピー完全系列に関する新たな結果を証明する。
方法
- ベクトル束のフラグスキームやグラスマンスキームにおける一般的な完全交叉の構成
- DarondeauとPragaczによるフラグ束のプッシュフォワード公式の利用
- S-基本群スキームの性質を用いた議論
主な結果
- 数値的に自明なチャーン類を持つランクrのネフベクトル束Eに対して、滑らかな射影多様体からの有限全射射fm: Xm → Xの列、fmEの部分束によるフィルトレーションの列S0,m = 0 ⊂ S1,m ⊂ ... ⊂ Sr−1,m ⊂ Sr,m = fmE、および有理数の列γ1,...,γrが存在し、各i = 1,...,rに対して、商Si,m/Si−1,mは直線束であり、(fm)*c1(Si,m/Si−1,m)/ deg fm = (γi/m) c1(A)が有理チャウ群A1(X)⊗Qにおいて成り立つ。
- 上記のfm: Xm → Xは、任意のxm ∈ Xm(k)に対して誘導されるS-基本群スキームの射πS1(Xm,xm) → πS1(X, fm(xm))が忠実に平坦になるように選択でき、dimX ≥ 2 ならば同型になるように選択できる。
結論
本研究は、準安定ベクトル束の近似に関する重要な結果を示し、S-基本群スキームの理解を深めるものである。特に、数値的に自明なチャーン類を持つネフベクトル束は、より単純な直線束のフィルトレーションによって近似できることが示された点は重要である。
今後の研究
- 本研究で得られた結果を、より一般的な代数多様体やベクトル束に拡張すること
- S-基本群スキームのホモトピー完全系列に関する更なる研究