Concepts de base
K3曲面上の(反)自己同値写像に対するBloch予想は、ピカール数が3以上の場合、またはヤコビファイブレーションが存在する場合に成り立つ。
Résumé
論文の概要
本論文は、K3曲面上の自己同値写像に対するBloch予想を考察しています。著者は、ねじれK3曲面の反射的自己同値写像という概念を導入し、そのような自己同値写像に対してBloch予想を証明しています。その結果、ピカール数が3以上のK3曲面のすべての(反)シンプレクティック自己同値写像に対して、この予想が正しいことが確認されました。
主な結果
- ねじれK3曲面の反射的自己同値写像に対してBloch予想が成り立つ。
- ピカール数が3以上、またはヤコビファイブレーションが存在する場合、K3曲面上の(反)自己同値写像に対するBloch予想が成り立つ。
- ピカール数が1のK3曲面の場合、Bloch予想は非常に微妙であり、無限に多くの反例が存在する。
- ピカール数が2のK3曲面の場合、NS(X)の行列式が小さい場合は、コンピュータを用いてBloch予想を確認することができる。
証明の手法
- ねじれK3曲面の導来圏の自己同値写像の作用を、そのMukai格子への作用を用いて解析する。
- 反射的自己同値写像を、Mukai格子上の鏡映変換として特徴づける。
- 鏡映変換の積として表される自己同値写像に対して、Bloch予想を帰納的に証明する。
応用
- K3[n]型の超ケーラー多様体上のBeauville-Voisinフィルトレーションの検出。
- 定サイクルLagrange部分多様体の構成。
今後の課題
- ピカール数が2以下のK3曲面の場合のBloch予想の解決。
- 反射的自己同値写像以外の自己同値写像に対するBloch予想の証明。