中脳前野ニューロテンシン神経細胞の活性化が体温調節に及ぼす相反する作用

Concepts de base

中脳前野のニューロテンシン神経細胞は、GABA放出による抑制作用と、ニューロテンシン受容体活性化による興奮作用の相反する影響を及ぼし、体温調節に重要な役割を果たしている。

Résumé

本研究では、中脳前野のニューロテンシン神経細胞の細胞特性と、それらの細胞活性化が周辺の神経細胞活動および体温調節に及ぼす影響を明らかにした。

主な知見は以下の通り:

1. 中脳前野のニューロテンシン神経細胞は自発的に活動し、主にGABA作動性である。
2. これらの神経細胞の光遺伝学的活性化は、周辺の中脳前野PACAP神経細胞の発火率を抑制する。この抑制効果はGABA受容体拮抗薬によって解除され、ニューロテンシン受容体1拮抗薬によって阻害される。
3. ニューロテンシン神経細胞のGABA伝達能を欠失させると、これらの神経細胞の光活性化によって中脳前野PACAP神経細胞が興奮し、体温低下が誘発される。
4. ニューロテンシン神経細胞のGABA伝達能を欠失したマウスでは、発熱反応、暑熱暴露、寒冷暴露、および概日リズムの体温調節に異常が認められる。
5. 全脳のニューロテンシン神経細胞の化学遺伝学的活性化は強力な体温低下を引き起こし、その作用は主に中脳前野のニューロテンシン受容体を介する。
6. 中脳前野のニューロテンシン神経細胞およびその投射の化学遺伝学的活性化は、中脳前野PACAP神経細胞を強力に興奮させる。

以上の結果から、中脳前野のニューロテンシン神経細胞は体温調節に重要な役割を果たしており、GABA放出と、ニューロテンシン受容体活性化による相反する影響を及ぼすことが明らかになった。

Stats

中脳前野ニューロテンシン神経細胞の自発発火率は4.29±2.45 Hzであった。
光活性化によって中脳前野PACAP神経細胞の発火率は5.10±1.32 Hzから1.39±0.36 Hzに減少した。
中脳前野ニューロテンシン神経細胞のGABA伝達能を欠失させると、光活性化によって中脳前野PACAP神経細胞の発火率が5.68±1.66 Hzから12.20±3.65 Hzに増加した。
全脳のニューロテンシン神経細胞の化学遺伝学的活性化は体温を4.8±0.6°C低下させた。

Citations

"中脳前野のニューロテンシン神経細胞は自発的に活動し、主にGABA作動性である。"
"ニューロテンシン神経細胞のGABA伝達能を欠失させると、これらの神経細胞の光活性化によって中脳前野PACAP神経細胞が興奮し、体温低下が誘発される。"
"全脳のニューロテンシン神経細胞の化学遺伝学的活性化は強力な体温低下を引き起こし、その作用は主に中脳前野のニューロテンシン受容体を介する。"

Idées clés tirées de

Opposing actions of co-released GABA and neurotensin on the activity of preoptic neurons and on body temperature

by Tabarean,I. ... à www.biorxiv.org 04-17-2024

https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2024.04.15.589556v1

Questions plus approfondies

中脳前野以外のニューロテンシン神経細胞が体温調節にどのように関与しているか?

中脳前野以外のニューロテンシン神経細胞は、体温調節において重要な役割を果たしています。研究では、ニューロテンシン神経細胞が他の脳領域に投射され、体温調節機構に影響を与えることが示唆されています。特に、ニューロテンシンの中枢放出が体温調節に重要であり、これらの神経細胞が他の脳領域との相互作用を通じて体温の調節に関与している可能性があります。さらに、ニューロテンシンの中枢放出が体温調節における神経伝達物質として機能し、体温の変動に対する反応を調節することが示唆されています。