本研究は、オープンソースコミュニティにおけるコミッター権限の取得要件を明らかにすることを目的としている。
まず、43のオープンソースプロジェクトのコミッター権限取得ポリシーを分析し、26のコードと9つのテーマからなる分類体系を構築した。この分類体系には、「コード変更関連の活動」、「ノミネーション」、「長期的な参加」、「課題関連の活動」、「コミュニケーション」、「プロジェクトとの関係」、「支援」、「プロジェクトの理解」、「行動規範」といったテーマが含まれる。
次に、Node.jsとTerraformの2つのプロジェクトを対象に、これらの要件がどのように実際に適用されているかを調査した。生存分析の結果、実際の選抜基準は概ねポリシーと一致しているが、一部の要件は十分に評価されていないことが明らかになった。例えば、高品質のコードを提出したり、コードレビューに積極的に参加したりする開発者ほど、コミッター権限を得やすい傾向にある。一方で、プロジェクトの理解度やコミュニティへの貢献度などの要件は必ずしも十分に評価されていない。
本研究の成果は、オープンソースコミュニティにおける信頼構築メカニズムの理解を深め、コミッター権限の公平な配分を促進し、個人開発者のオープンソース参加を支援することに貢献する。
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