本研究では、効用最大化を目的とする多主体システムにおける意見動態を提案する。提案するモデルの特徴は、エージェントの効用関数に意見依存の資源ペナルティ項を含むことで、エージェントが大きな意見を持つことを制限することである。提案する効用関数では、社会グループ内の相対的資源が、エージェントの頑固さと社会的影響力に影響することも考慮している。各エージェントは自身の効用関数の勾配上昇方向に意見を修正することで、意見動態が導出される。任意の社会影響ネットワークに対して、意見は最終的に有界となることを示す。弱い敵対的関係のネットワークでは、収縮理論を用いて、大域的に指数関数的に安定な均衡が存在することを示す。コンセンサス均衡の存在条件を明らかにし、コンセンサス時の各エージェントの相対的支配度を分析する。また、意見形成ゲームに関する ゲーム理論的分析を行い、ナッシュ均衡と無秩序の価格について考察する。さらに、2エージェントの場合の意見の振動挙動も調査する。最後に、シミュレーションによりこれらの知見を示す。
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