本論文では、NP困難問題であるフィードバックベルテックス集合問題の解決に向けて、前処理によって探索空間を大幅に縮小できる新しいグラフ構造「アントラー」を提案している。
まず、頂点被覆問題におけるクラウン分解に着想を得て、フィードバックベルテックス集合問題に適用できる「アントラー」を定義した。アントラーは、最適解に含まれる頂点集合を特定できる性質を持つ。
次に、アントラーを効率的に見つける固定パラメータ tractable アルゴリズムを開発した。このアルゴリズムは、入力グラフにアントラーが存在する場合、最適解に含まれる頂点の集合を出力する。これにより、フィードバックベルテックス集合問題の探索空間を大幅に縮小できる。
さらに、アントラーの一般化概念として「z-アントラー」を定義し、これを効率的に見つける固定パラメータ tractable アルゴリズムを提案した。z-アントラーを用いることで、より複雑な解構造を持つグラフに対しても探索空間を縮小できる。
以上の結果から、前処理によってフィードバックベルテックス集合問題の解探索を大幅に高速化できることが示された。
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