本研究では、前壁STEMIの患者を対象に、心臓MRIの画像解析を行い、収縮期周径ひずみの地域的変化を評価した。
主な結果は以下の通り:
左室駆出率(EF) < 50%の前壁STEMI患者では、ほとんどすべての心筋セグメントで収縮期周径ひずみが有意に低下していた。これは、梗塞領域や境界領域だけでなく、遠隔心筋の機能も低下していることを示している。
EF ≥ 50%の前壁STEMI患者では、梗塞領域と境界領域のいくつかのセグメントで収縮期周径ひずみが有意に低下していたが、遠隔心筋のひずみは対照群と同等であった。これは、前壁STEMIでは、他の梗塞部位と異なり、遠隔心筋に代償性の収縮機能亢進が見られないことを示している。
EF < 50%と EF ≥ 50%の前壁STEMI患者を比較すると、11のセグメントで EF ≥ 50%群の方が有意に大きなひずみ値を示した。
これらの結果から、前壁STEMIでは心筋機能の低下が広範囲に及ぶことが明らかになった。収縮期周径ひずみの地域的評価は、前壁STEMIの重症度を把握し、患者ごとの治療戦略を立てる上で有用な指標となる可能性がある。
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