本研究では、青銅器時代のオランダ・ヘイルーで発見された大型の鯨骨製道具について、ZooMS、SPIN、ターゲットデータベース検索などの古生物学的手法を用いて詳細な分析を行った。その結果、この道具は北大西洋ナガスクジラ(Eubalaena glacialis)の骨から作られたものであり、植物繊維の加工に使用されていたことが明らかになった。
この発見は、青銅器時代の沿岸部集落が鯨類を単に食用としてだけでなく、骨を道具の原料としても利用していたことを示唆している。この大型の鯨骨製道具は、その大きさ、使用痕跡、柄の取り付け方などの点で、これまでに類例のない非常に特殊な遺物である。
ZooMSの分析では、この道具がナガスクジラ属(Eubalaena)またはマッコウクジラ属(Balaena)の骨であることが示された。さらに詳細なプロテオミクス分析により、この道具がナガスクジラ(Eubalaena glacialis)の骨から作られたものであることが明らかになった。
この道具の発見は、青銅器時代の沿岸部集落における鯨類の利用実態を示す重要な証拠となる。従来、鯨類の利用は主に食用に限られると考えられていたが、本研究の結果は、骨を道具の原料として利用していた可能性を示唆している。
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