本研究では、NMR分光法を用いて、リソスタフィンとLytMの基質特異性と切断部位を実時間動態学的に解析した。
主な知見は以下の通り:
リソスタフィンは、ペプチドグリカンの架橋部位であるD-Ala-Gly結合を優先的に加水分解する。一方、非架橋のペプチドグリカンモノマーでは、Gly2-Gly3結合を切断する。
LytMは、従来の認識通りグリシン-グリシン結合を加水分解するだけでなく、D-Ala-Gly結合も切断できる。これは新しい発見である。
LytMはD-Ala-Gly結合の切断に関して柔軟性があり、セリン置換体のペプチドグリカンも比較的良好に加水分解できる。一方、リソスタフィンはセリン置換体に対する活性が大幅に低下する。
構造モデリングから、リソスタフィンはD-Ala-Gly結合の切断が立体障害により阻害されるが、LytMはより広い活性部位を持つため、D-Ala-Gly結合の切断が可能であることが示された。
以上より、リソスタフィンとLytMは、ペプチドグリカンの架橋構造を認識し、効率的に加水分解することが明らかになった。LytMの新規な基質特異性は、これまでの認識を改める重要な発見である。
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