この論文では、ワイル接続とワイル幾何学を用いて、新しい修正重力理論を構築する方法を提案しています。
従来のリーマン幾何学に基づく一般相対性理論とは異なり、ワイル幾何学では、ワイル接続と呼ばれる、余分なワイル場を含む接続を用います。このワイル接続を用いて、リーマンテンソルやリッチスカラーに対応する量を構築し、修正重力理論の構成要素として利用します。
最も単純なケースでは、ワイル接続のリッチスカラーのみをラグランジアンとして用いると、一般相対性理論が再現されます。
しかし、ワイル場を力学的な場へと昇格させ、そのトレースから構築された一般的なポテンシャルや結合を導入することで、一般相対性理論とは異なる新しい修正重力理論が得られます。
これらの理論は、一般相対性理論よりも自由度が2つ多く、その余分な自由度はワイル場に対応します。
これらの修正重力理論を宇宙論に適用すると、フリードマン方程式に新たな項が現れ、幾何学的起源を持つ有効なダークエネルギーセクターが得られます。
最も単純なケースでは、有効な宇宙定数が得られ、ΛCDMパラダイムを再現することができます。
より一般的なケースでは、ワイル場と計量のダイナミクスから生じる、動的なダークエネルギーが得られます。
これらの理論は、物質優勢時代とダークエネルギー優勢時代という、宇宙の熱史を再現することができます。
また、対応するダークエネルギーの状態方程式パラメータは、理論のクラスやパラメータの値に応じて、多様な振る舞いを示すことがわかりました。
論文では、具体的なモデルとして、h(A) = β/A、f(A) = γ (β、γは定数パラメータ) の場合を考察しています。
このモデルでは、減速から加速への遷移が赤方偏移z ≈ 0.6 で起こり、観測結果と一致しています。
また、ダークエネルギーの状態方程式パラメータは、現在(z = 0)では観測結果と一致する-1に近い値を取り、将来はファントム領域に入る可能性もあることがわかりました。
ワイル接続とワイル幾何学は、新しい修正重力理論の構築の基礎として利用できることが示されました。
これらの理論は、宇宙の加速膨張やダークエネルギー問題に対する新たな知見を提供する可能性があります。
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