本論文では、従来のニューラルネットワークとは異なるスパイク発火を用いた再帰型ニューラルネットワークを提案している。
まず、従来のニューラルネットワークは大量のエネルギーを消費するのに対し、生物の脳のように低消費電力で動作するスパイキングニューラルネットワーク(SNN)が注目されている。SNNは事象駆動型の計算を行うため、効率的な計算が可能となる。しかし、スパイク発火が非微分的であるため、通常の誤差逆伝播法を用いた学習が困難であるという課題がある。
そこで本論文では、従来の再帰型ニューラルネットワークの一種であるゲート付き再帰ユニット(GRU)を基に、スパイク発火を行う新しい再帰型セル(SRC)を提案している。SRCは微分可能な方程式を用いてスパイク発火を生成するため、通常の誤差逆伝播法を用いて学習できる。
実験では、SNNを用いたMNIST、Fashion-MNIST、Neuromorphic-MNISTベンチマークの結果を示している。SRCを用いたネットワークは、従来のSNNと同等の性能を達成できることが示された。さらに、SRCを用いることで深層SNNの学習が可能となり、より複雑なタスクにも適用できることが示唆された。
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