Core Concepts
非線形力学系における不確かさ伝播を高精度に計算するため、ハミルトニアン構造を利用した新しいスパース配置法を提案する。
Abstract
本論文では、非線形力学系における状態確率密度関数(PDF)の不確かさ伝播を高精度に計算するため、ハミルトニアン構造を利用した新しいスパース配置法を提案している。
研究目的
- 非線形力学系における不確かさ伝播を高精度かつ効率的に計算する新しい方法を開発する。
- 従来の不確かさ伝播計算手法における次元問題の克服を目指す。
手法
- フォッカープランクコルモゴロフ方程式(FPKE)の数値解を計算するために、スパース配置法を採用する。
- 対数PDFの多項式基底関数辞書に、従来の単項式に加えてハミルトニアンを含める。
- 安定状態の対数PDFがハミルトニアン関数に直接比例するという事実に基づき、ハミルトニアン基底関数を導入する。
- 共役無香料変換(CUT)法を用いて、領域を正確に表現するために必要な最小限の配置点を選択する。
- 過剰な基底関数辞書から適切な基底関数を自動的に選択するために、スパース近似技術を用いる。
結果
- 開発した手法の有効性を検証するため、非線形振動子と二体問題の二つの数値例を用いた。
- シミュレーション結果は、提案手法が非保存系と保存系の両方において、不確かさを正確に伝播するのに有効であることを示した。
- 特に、提案手法は、系の次元が増加しても精度を維持できることが示された。
結論
- ハミルトニアン構造を利用することで、非線形力学系における不確かさ伝播を高精度かつ効率的に計算できることが示された。
- 提案手法は、従来手法と比較して、計算コストを抑えつつ、高精度な解を得ることができる。
意義
- 本研究は、不確かさ伝播計算の分野における重要な進歩である。
- 提案手法は、航空宇宙工学、ロボット工学、制御工学など、様々な分野における複雑なシステムの設計や解析に広く応用できる可能性がある。
制限と今後の研究
- 本研究では、ガウスノイズを仮定しているが、実際には、より複雑なノイズモデルが必要となる場合がある。
- 今後の研究では、より複雑なノイズモデルへの拡張や、提案手法の適用範囲の拡大などが期待される。
Stats
ダフィング振動子のシミュレーションでは、Q = 1、η = 10、α = -1、β = 3 とした。
ダフィング振動子の初期PDFは、平均値がゼロ、共分散が単位行列のガウス分布とした。
ダフィング振動子の基底関数辞書は、15次までの単項式とハミルトニアンで構成され、合計で m = 151 個の係数(mx = 136、mh = 15)となった。
ダフィング振動子の領域を正確にサンプリングするために、21個のCUT8配置点を生成した。
ダフィング振動子の時間ステップは Δt = 0.01秒とし、システムは tf = 50秒間解かれた。
ダフィング振動子のグローバルドメインは x ∈[-2, 2] と仮定し、解のドメインは、原点を中心とした長さ2のハイパーキューブにマッピングされた。
ローカルドメインでは、重み関数の±3σ境界がドメイン境界にくるように、共分散 Σw = (1/9)I2×2 のゼロ平均ガウス重み関数を採用した。
軌道遷移マヌーバのシミュレーションでは、初期状態の標準偏差は、位置に50m、速度に各方向0.1m/sを適用した。
軌道遷移マヌーバのシミュレーションでは、インパルス制御速度の標準偏差は、各方向に5m/sを適用した。
テストケース-Iでは、辞書には8次までの単項式基底関数を考慮し、その結果、m = 3003個の係数が得られた。
テストケース-IIでは、8次までの単項式とハミルトニアンを考慮し、その結果、合計で m = 3011個の係数が得られた。
6次元システムの配置点としてCUT8点を選択した結果、745点となった。