Core Concepts
カンブリア紀初期の被嚢性刺胞動物ポリプQuadrapyrgitesは、コロナ筋の収縮と膨張によって水の吸入と排出を行い、効率的な摂餌と呼吸を行っていた。
Abstract
本研究では、流体-構造連成計算流体力学(CFD)法を用いて、カンブリア紀初期の被嚢性刺胞動物ポリプQuadrapyrgitesの収縮と膨張の動的シミュレーションを行った。
シミュレーションの結果、ポリプの膨張速度が速いほど、ポリプ下部の開口部付近の水流速が高くなり、より多くの餌粒子を取り込めることが示された。また、ポリプの収縮と膨張に伴って形成される渦が、餌粒子の取り込みや呼吸効率の向上に寄与していることが明らかになった。
これらの結果は、カンブリア紀初期の被嚢性刺胞動物ポリプが、コロナ筋と中胚葉層の相互作用によって能動的な摂餌と呼吸を行っていたことを示唆している。また、ポリプの体サイズの増大と筋収縮能力の向上が、遊泳性メデュサの出現に向けた重要な進化的ステップであった可能性が考えられる。
Stats
ポリプ開口部付近の最大流速は0.005 - 0.0155 m/sの範囲にあった。
ポリプの膨張速度が速いほど、ポリプ開口部付近の最大流速が高くなった。
Quotes
"ポリプの収縮と膨張に伴って形成される渦が、餌粒子の取り込みや呼吸効率の向上に寄与していることが明らかになった。"
"ポリプの体サイズの増大と筋収縮能力の向上が、遊泳性メデュサの出現に向けた重要な進化的ステップであった可能性が考えられる。"