本論文は、確率的に辺が出現するグラフにおける最大マッチング問題を、局所計算アルゴリズム(LCA)を用いて解く新しい手法を提案しています。
確率的マッチング問題は、腎臓交換、オンラインデート、オンライン労働市場など、様々な応用を持つグラフスパース化問題の一つです。この問題は、グラフGとその各辺eが出現する確率peが与えられたとき、出現した辺のみで構成されるグラフGpの最大マッチングの期待値を最大化するような、Gの部分グラフHを求めることを目的とします。従来の研究では、Hの頂点次数をpoly(1/p)に抑えつつ、近似比を改善する試みがなされてきました。
本研究では、poly(1/p)の頂点次数を持つ部分グラフHを用いて、(1-ε)近似解を得ることを目的としています。
本研究では、以下の手順で動作するアルゴリズムを提案しています。
このアルゴリズムの近似比を解析するために、本研究ではLCAを用いた新しい手法を導入しています。従来のLCAの評価指標はout-query(ある頂点の出力を計算するために探索する頂点の数)でしたが、本研究では新たにin-query(ある頂点の出力を計算するために、その頂点を探索する他の頂点の数)という概念を導入し、in-queryとout-queryの両方を制限することで、LCAの出力間の相関を抑制できることを示しています。
本研究で提案されたアルゴリズムは、poly(1/p)の頂点次数を持つ部分グラフHを構築し、(1-ε)近似解を得ることに成功しました。
本研究は、確率的マッチング問題において、従来の研究を超える近似比を達成しました。また、LCAのin-queryという新しい概念を導入することで、LCAの出力間の相関を抑制する手法を提案し、今後のLCA研究に新たな方向性を示しました。
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