核心概念
本稿では、ゴシップネットワークにおける情報更新システムにおいて、送信元ノードが情報を符号化し、受信ノードの一部がそれを復号して元の情報を再構築する際の、情報の鮮度を定量的に評価する。
要約
ゴシップネットワークにおける符号化更新のエージ:メモリ有り/無しスキームの比較
本論文は、ゴシップネットワークにおける情報更新システムの効率性と、情報の鮮度を測る指標である「バージョン経過情報量 (VAoI)」の関係について考察している。具体的には、送信元ノードが情報を符号化し、受信ノードの一部がそれを復号して元の情報を再構築する k-out-of-n しきい値システムを採用したゴシップネットワークを対象としている。
従来のゴシップネットワークでは、送信元ノードは情報を暗号化せずにゴシップノードに送信していた。しかし、セキュリティやプライバシー保護の観点から、情報の暗号化はますます重要になっている。そこで本研究では、(k, n)-しきい値署名方式 ((k, n)-TSS) を用いて情報を暗号化するゴシップネットワークを想定し、VAoI を用いて情報の鮮度を評価する。
本論文では、送信元ノードと複数の受信ノードからなる情報更新システムを扱う。送信元ノードは、一定時間ごとに情報を更新し、(k, n)-TSS を用いて情報を n 個のキーに符号化する。受信ノードは、他の受信ノードとゴシップ通信を行うことで、必要な数のキーを集めて情報を復号する。
受信ノードには、送信元ノードから常に最新のキーを受け取ることができる「加入者ノード」と、ランダムに選択された場合のみ最新のキーを受け取ることができる「非加入者ノード」の 2 種類がある。また、ゴシップ通信には、過去のキーを保持できる「メモリ有りスキーム」と、最新のキーのみを保持できる「メモリ無しスキーム」の 2 種類がある。