核心概念
本稿では、少量の訓練データセットを用いた眼科画像の多領域セグメンテーションにおいて、領域間のトポロジー的関係と積集合-和集合の関係性を考慮した新しい損失関数を提案し、その有効性を示している。
要約
論文要約
書誌情報
Xia, R., Li, J., Xu, X., & Fu, G. (2024). Topology and Intersection-Union Constrained Loss Function for Multi-Region Anatomical Segmentation in Ocular Images. arXiv preprint arXiv:2411.00560v1.
研究目的
本研究は、眼科画像における多領域解剖学的セグメンテーション、特に眼瞼下垂や複視などの症状が現れる眼筋の正確なセグメンテーションを改善することを目的とする。
方法
- 積集合-和集合制約付き損失関数(TIU loss)を提案。
- 異なるカーネルサイズを持つMaxPoolingを用いたマルチスケール表現により、様々なスケールでトポロジー的な整合性を促進。
- ReLUを用いて、強膜、虹彩、瞳孔などの眼領域間の積集合-和集合の関係性を表現し、解剖学的に正しいセグメンテーションを促進。
- 公開データセットUBIRIS.v2を用いて、UNet、FCN、UNetRの3つの深層学習モデルを、クロスエントロピー損失、Dice損失、提案手法であるTIU lossを組み合わせた損失関数で学習。
- 学習データセットの割合を10%、50%、100%と変化させて、提案手法のデータ効率を評価。
- 公開データセットと、眼瞼下垂と眼筋型重症筋無力症と診断された患者47名から収集した臨床データセットを用いて、モデルの汎化性能を評価。
結果
- 提案手法であるTIU lossは、ほとんどのモデル、データセット、評価指標において、ベースラインとなる損失関数よりも優れた性能を示した。
- 特に、少量の訓練データセットを用いた場合に、TIU lossはベースラインと比較してDiceスコアで最大8.32%の改善を示した。
- 臨床データセットにおいて、公開データセットで学習したモデルは、ドメインシフトの影響により性能が低下したものの、TIU lossを用いることで、ベースラインと比較してDiceスコアが向上した。
結論
- 提案手法であるTIU lossは、眼科画像の多領域セグメンテーションにおいて、特に少量の訓練データセットを用いた場合に有効である。
- 臨床データセットにおける性能向上は限定的であり、ドメインシフトの影響を考慮したモデルの開発が今後の課題として挙げられる。
統計
公開データセットUBIRIS.v2は、261名から収集した11,102枚の眼科画像で構成されている。
臨床データセットは、眼瞼下垂と眼筋型重症筋無力症と診断された患者47名から収集した501枚の眼科画像で構成されている。
提案手法であるTIU lossを用いて学習したUNetは、公開データセットのテストセットにおいて、Diceスコア83.12%、HD95 23.00を達成した。
臨床データセットにおいて、TIU lossを用いて学習したUNetは、Diceスコア64.44%、HD95 40.09を達成した。
引用
"We propose a new loss function that leverages topology constraints and the intersection and union relationships between eye regions to enhance iris segmentation performance, particularly with small training sets."
"Results consistently showed performance improvements across different training set sizes."
"Future work will focus on training a better-performing model specifically for clinical analysis."