核心概念
VerAは、医療介入の結果を示すために特定の重要な領域(口、鼻、目など)を保持しながら、臨床顔写真における個人を特定できないよう匿名化する技術である。
本論文では、GDPR等の個人情報保護規制の強化を背景に、医療現場での顔写真共有におけるプライバシー保護の必要性が高まっていることを受け、**VerA(Versatile Anonymization)**と呼ばれる新しい顔画像匿名化フレームワークを提案する。VerAは、従来の匿名化手法では困難であった、医療介入の対象となる重要なセマンティック領域(例:口元)を保持しながら、顔全体を匿名化することができる。さらに、同一人物の術前・術後写真のように、複数の写真間で一貫した匿名化を実現するペアード匿名化にも対応している。
従来の顔写真匿名化手法としては、モザイク処理やぼかし処理などが一般的であったが、これらの手法では情報が大きく損失してしまうため、医療現場での利用には適していなかった。近年、深層学習の発展により、より高度な匿名化手法が登場したが、これらの手法は、医療介入の対象領域を保持する必要がある臨床画像や、同一人物の複数画像間で一貫性を保つ必要があるペアード画像への適用は考慮されていなかった。