本論文では、スパイクフォーマーにおいて、従来の自己注意メカニズムをフーリエ変換やウェーブレット変換ベースの情報変換手法に置き換えることを提案している。
まず、自己注意メカニズムは入力情報を複雑な基底関数に変換することで情報表現を行うが、これはフーリエ変換やウェーブレット変換でも同様の機能が実現できると仮定している。
そこで、提案手法のFWフォーマーでは、自己注意の代わりにフーリエ変換やウェーブレット変換を用いて入力スパイク情報を変換する。これにより、計算量の削減と精度維持の両立を実現している。
具体的には、FWフォーマーはスパイクパッチ分割、FWエンコーダ、分類ヘッドから構成される。FWエンコーダでは、FW変換と多層パーセプトロンを組み合わせて特徴抽出を行う。
実験の結果、FWフォーマーは従来のスパイクフォーマーと比べて、同等以上の精度を維持しつつ、9-51%の学習速度向上、19-70%の推論速度向上、20-25%の理論消費エネルギー削減、4-26%のGPUメモリ使用量削減を実現できることが示された。
さらに、ウェーブレット変換の基底関数を組み合わせて非直交基底を構築することで、さらなる精度向上が確認された。これは、自己注意の基底が訓練中に直交性を失っていくことに着目したものである。
以上より、生物学的発見や情報理論に着想を得た新しいトランスフォーマー設計の有効性が示された。
他の言語に翻訳
原文コンテンツから
arxiv.org
深掘り質問