核心概念
ソーシャルメディアユーザーの憎悪表現の使用は、低信頼性のニュースへの露出と関連している。特に、ユダヤ人やムスリムを標的とした憎悪表現を使用するユーザーは、低信頼性のニュースに多く露出している。
要約
本研究は、ソーシャルメディアにおける憎悪表現の使用と、低信頼性のニュースへの露出との関係性を調査したものである。
まず、憎悪表現を使用するユーザー(憎悪話者)と、同じ対象について非憎悪的に投稿するユーザー(非憎悪話者)の2つのグループを抽出した。次に、それぞれのグループがフォローしているアカウントが投稿したツイートを収集し、そこに含まれるニュースリンクの信頼性を分析した。
その結果、以下の知見が得られた:
憎悪話者は、非憎悪話者に比べて、低信頼性のニュースソースからのツイートに多く露出している。
この傾向は、ユダヤ人やムスリムを標的とした憎悪表現を使用するユーザーに特に顕著である。その他の対象グループでは有意な差は見られない。
憎悪話者は、特に人気の低い低信頼性のニュースに多く露出している。一方、人気の高い低信頼性のニュースへの露出には差がない。
ユダヤ人を標的とした憎悪話者は、極左寄りの低信頼性ニュースに多く露出しているのに対し、ムスリムを標的とした憎悪話者は、保守寄りの低信頼性ニュースに多く露出している。
これらの結果は、憎悪表現とフェイクニュースの間に有害な相乗効果があることを示唆している。フェイクニュースの拡散を抑制し、信頼できる情報源へのアクセスを促進することが、憎悪表現の削減にも役立つ可能性がある。
統計
憎悪話者は、非憎悪話者に比べて、低信頼性のニュースソースからのツイートの割合が有意に高い(中央値0.073 vs 0.040, p<0.001)。
憎悪話者は、非憎悪話者に比べて、信頼できるニュースソースからのツイートの数が有意に少ない(中央値715.5 vs 1076.0, p<0.001)。
ユダヤ人を標的とした憎悪話者は、非憎悪話者に比べて、信頼できるニュースソースからのツイートの数が有意に少ない(中央値648.5 vs 914.0, p=0.036)。
ラテン系を標的とした憎悪話者は、非憎悪話者に比べて、信頼できるニュースソースからのツイートの数が有意に少ない(中央値77.0 vs 296.0, p<0.01)。
人気の低い低信頼性のニュースへの露出は、憎悪話者の方が非憎悪話者よりも有意に高い(中央値0.017 vs 0.0044, p<0.001)。一方、人気の高い低信頼性のニュースへの露出には差がない(p=0.22)。