核心概念
コンピュータービジョンを使ってパーキンソン病患者の運動機能を客観的に評価し、MDS-UPDRSスケールを自動化する。
要約
本論文は、パーキンソン病の運動機能評価のためのコンピュータービジョンアプローチを提案している。
まず、パーキンソン病の運動症状の評価には現在MDS-UPDRSスケールが使われているが、主観的で一貫性が低く、コストと効率が低いという問題がある。そこで本研究では、スマートフォンのカメラを使って患者の動作ビデオを撮影し、コンピュータービジョンの手法を使って運動機能の定量的な評価を行うことを提案している。
具体的には以下の手順で行う。
患者にスマートフォンアプリを使って6つの運動課題(手の震え、指タップ、手の開閉、両手の交互運動、足の素早い動き、足の踵打ち)のビデオを撮影してもらう。
ビデオ内の人物の姿勢推定と手の関節点検出を行い、各課題に対応した運動信号を抽出する。
抽出した信号から統計的特徴量を算出し、運動機能の定量的な評価を行う。
この手法により、医療従事者の負担を軽減し、客観的で一貫性のある評価が可能になると期待される。今後は実際の患者を対象とした検証が必要だが、スマートフォンを活用したこの手法は、パーキンソン病の早期から中期の患者の評価に有用だと考えられる。
統計
パーキンソン病は世界で700万人から1000万人が罹患している、世界で2番目に多い神経変性疾患である。