核心概念
本論文では、待機のみの非ブロッキングブロードキャストプロトコルにおける状態到達可能性問題と構成到達可能性問題の複雑性を明らかにする。これらの問題は一般的には Ackermann 困難であるが、待機のみのプロトコルでは、それぞれ P 問題とPSpace 問題に落ちることを示す。
要約
本論文は、プロセスネットワークにおける非ブロッキングブロードキャストプロトコルの安全性検証に関する研究である。
まず、プロセスネットワークのモデルと、非ブロッキングブロードキャストプロトコルの定義を示す。プロセスは同一のプロトコルを実行し、同期的にメッセージをブロードキャストするか、最大1つのプロセスにメッセージを送信する。メッセージを受信するプロセスがいない場合でも、メッセージは送信される。
次に、状態到達可能性問題と構成到達可能性問題を定義する。これらの問題は一般的には Ackermann 困難であることが知られているが、プロトコルが「待機のみ」の場合、すなわちプロセスが送受信状態にない場合、それぞれ P 問題とPSpace 問題に落ちることを示す。
待機のみプロトコルの性質として、活性状態は任意の数のプロセスで到達可能であるが、待機状態は最大1つのプロセスでしか到達できないことを示す。この性質を利用して、状態到達可能性問題のP 問題への帰着と、構成到達可能性問題のPSpace 問題への帰着を行う。
最後に、これらの上界が最適であることを示すため、P 困難性と PSpace 困難性の証明も行う。