核心概念
ランダム数生成器の出力品質を向上させるために、様々な乱数抽出手法を適用し、統計的検定を通じてその効果を分析する。
要約
本研究では、ランダム数生成器(RNG)の出力品質を向上させるために、様々な乱数抽出手法を適用し、その効果を統計的検定を通じて分析している。
まず、既存の統計的検定スイートを組み合わせた強力な検定環境(STE)を開発し、3種類のRNG(32ビットLFSR PRNG、Intel RDSEED TRNG、IDQuantique Quantis QRNG)の出力を徹底的に検査した。その結果、2つのRNGが統計的に不良であることが明らかになった。
次に、4つのレベルの乱数抽出手法(決定論的抽出、シード付き抽出、2源抽出、物理的抽出)を実装し、各RNGの出力に適用した。その結果、レベル2以上の抽出手法はすべてのRNGの出力を統計的に良好なものに改善できることが示された。一方で、単純な決定論的抽出では、不良なRNGの出力を十分に改善できないことも明らかになった。
これらの結果は、適切な乱数抽出手法を選択・実装することで、低品質なRNGの出力でも高品質な乱数を生成できることを示している。一方で、統計的検定だけでは完全な品質保証にはならず、物理プロセスのモデル化などの追加的な検証が重要であることも示唆された。
統計
32ビットLFSR PRNGの出力は、統計的検定に大量に失敗する。
Intel RDSEED TRNGの出力は、ほとんどの統計的検定に合格する。
IDQuantique Quantis QRNGの出力は、一部の統計的検定に失敗するが、高レベルの抽出手法を適用することで改善される。