核心概念
本研究では、拡張カルマンフィルター-セル伝送モデルに基づくデータ同化フレームワークを提案し、ジャム吸収型運転の性能向上に活用する。
要約
本研究では、交通渋滞緩和のためのジャム吸収型運転(JAD)の性能向上を目的として、拡張カルマンフィルター-セル伝送モデル(EKF-CTM)に基づくデータ同化フレームワークを提案した。
まず、単一のジャム吸収車両(AbV)の運動と制御性能に及ぼすデータ同化フレームワークの影響を調査した。数値実験の結果、データ同化フレームワークは、交通流基本図の主要パラメータ(自由流速、臨界密度)の過小評価や過大評価による制御失敗を効果的に軽減することが示された。これは、気象条件や交通構成の変化などによる交通特性の変化に対しても、JADの有効性を維持できることを示唆している。
提案フレームワークは、ループ検知器からの計測データのみを利用して、JADの制御性能を向上させることができる。このことから、高度な装置を必要とせず、短期的に普及が難しい地域でも適用可能であることが示唆される。
今後の課題として、提案フレームワークの複雑な交通条件(多車線、異種車両混在など)への拡張や、安定性の検証などが挙げられる。
統計
交通渋滞緩和効果の指標として、平均旅行時間の削減量(∆ATT)と平均燃料消費量の削減量(∆AFCVm)を用いた。
過小評価の場合(∆ATT = -136.79 s, ∆AFCVm = -39.34 ml)
データ同化を用いた場合(∆ATT = -0.35 s, ∆AFCVm = 9.676 ml)