核心概念
分散型の再生可能エネルギーシステムにおいて、個々の目的を持つ強化学習エージェントを階層的に組織化し、連邦学習を用いることで、全体としての目標である二酸化炭素排出量の削減を実現する。
要約
本研究では、FRESCO(Federated Reinforcement Energy System for Cooperative Optimization)と呼ばれる階層的な強化学習フレームワークを提案している。
環境モデル:
OpenAI Gymを用いて、さまざまなマイクログリッドのシナリオを表現する合成データを生成する。
太陽光発電、家庭の電力需要、エネルギー価格、排出量などのデータを含む。
階層的な強化学習エージェント:
レイヤー1: 家庭内のバッテリーシステムを管理し、電気料金の削減を目指す。
レイヤー2: マイクログリッド内の近隣家庭間でのエネルギー取引価格を設定し、二酸化炭素排出量の削減を目指す。
レイヤー3: マイクログリッド間のエネルギー取引価格を設定し、配電システムの物理的制約を考慮する。
連邦学習による訓練:
各レイヤーのエージェントを、連邦学習(FedAVG)を用いて訓練する。
これにより、個人情報の保護と全体最適化の両立を実現する。
評価:
提案手法(FRESCO)と、線形最適化手法(CVXPY)を比較評価する。
FRESCO は、電気料金、二酸化炭素排出量の削減において優れた性能を示す。
本研究は、分散型の再生可能エネルギーシステムにおいて、個々の目的を持つエージェントを階層的に組織化し、連邦学習を用いることで、全体としての目標である二酸化炭素排出量の削減を実現する新しいアプローチを提案している。
統計
電力料金を最小化するためのバッテリー管理の報酬は-0.915。
連邦学習を用いたFRESCOでは-0.81と改善された。
二酸化炭素排出量を最小化する指標では、FRESCOが-0.28と最も良い結果を示した。