核心概念
本稿では、モバイルエージェントを用いて任意のグラフ上でDistance-2-Dispersion (D-2-D) 問題を解決する効率的な分散アルゴリズムを提案する。本アルゴリズムは、エージェントがグラフのグローバルな知識を持たない状況下でも、任意の初期構成から開始し、最大独立集合を形成するD-2-D構成を達成できる。
要約
モバイルエージェントを用いた効率的なD-2-Dアルゴリズム:任意の初期構成とグローバル知識の不要性
本稿は、分散コンピューティングにおける基本的な問題の一つであるDistance-2-Dispersion (D-2-D) 問題を解決する新しいアルゴリズムを提案する研究論文である。
本研究の目的は、匿名のポートラベル付きグラフ上で動作するモバイルエージェントのグループが、グラフのグローバルな知識を持たずにD-2-D構成を達成するための効率的な分散アルゴリズムを設計することである。
本稿で提案するアルゴリズムは、大きく分けて3つのフェーズから構成される。
分散フェーズ: Sudoらによって提案された分散アルゴリズム[16]を用いて、エージェントをグラフ上に分散させる。このフェーズでは、エージェントはグラフ上を移動し、最終的に各ノードに最大でも1つのエージェントが存在する状態を目指す。
マージフェーズ: 分散フェーズで生成された複数のDFSツリーを、単一のDFSツリーにマージする。このフェーズは、分散フェーズと並行して実行される。各グループのリーディングエージェントは、他のエージェントと通信しながら、より大きなIDを持つリーディングエージェントのDFSツリーに合流していく。
D-2-D変換フェーズ: マージフェーズで構築された単一のDFSツリーを用いて、分散構成をD-2-D構成に変換する。リーディングエージェントはDFSツリー上を移動し、各ノードのエージェントは、最終的にそのノードに留まるか、移動するかを決定する。