核心概念
本論文は、同期的なバイザンチン合意アルゴリズムを部分同期環境に効率的に変換する新しい手法Operを提案する。Operを用いることで、最適な通信量と遅延を持つ部分同期バイザンチン合意アルゴリズムを構築できる。これにより、同期環境とは根本的な違いがあるという従来の信念に反して、同期性と部分同期性の間に本質的な差はないことを示す。
要約
本論文は、同期的なバイザンチン合意アルゴリズムを部分同期環境に効率的に変換する新しい手法Operを提案している。
Operの主な特徴は以下の通りである:
同期的なアルゴリズムAの通信量と遅延を保ちつつ、部分同期環境でも正しく動作する。
暗号化を必要とせず、最適な耐障害性(n≥3t+1)を持つ。
Dolev-Reischuk下限が部分同期環境でも成り立つことを示す。
Operの実装では以下の3つの主要な要素を使用している:
安全性を保証するための2つの安全ガード
同期的なアルゴリズムAを部分同期環境で正しく動作させるための同期化メカニズム
遅れた正しいプロセスが効率的に追いつくことを可能にする「安全なスキップ」メカニズム
これらの要素を組み合わせることで、Operは同期的アルゴリズムの効率性を部分同期環境に移植し、従来の信念に反して、同期性と部分同期性の間に本質的な差がないことを示している。
統計
同期的なバイザンチン合意アルゴリズムAの最悪ケースのプロセス当たりのビット複雑度をBとする。
同期的なバイザンチン合意アルゴリズムAの最悪ケースの遅延をLとする。
Operは、t-耐性的(t<n/3)な決定性的な部分同期バイザンチン合意アルゴリズムを構築し、その最悪ケースのプロセス当たりのビット複雑度はO(B)、最悪ケースの遅延はO(L)である。