核心概念
精液微生物叢の特徴と構成は、男性不妊症、習慣流産、および健康な男性の間で共通しているが、特定の細菌群の存在は精子機能の低下と関連している。
要約
この研究は、223人の男性を対象に、精液微生物叢のメタタキソノミックプロファイリング、精液分析、DNA断片化、活性酸素種(ROS)測定を行い、精液微生物叢と精子機能の関係を包括的に調べたものである。
主な結果は以下の通り:
精液サンプルは、Streptococcus、Prevotella、Lactobacillus/Gardnerella優位の3つの主要なクラスターに分類された。これらのクラスターは、健康な男性と不妊症/習慣流産の男性の間で共通して観察された。
細菌叢の多様性、豊富さ、量と精液パラメーターや精子DNA断片化、ROSとの間に有意な関連は認められなかった。
特定の細菌属の相対存在量と精液パラメーターの間に関連が見られた。例えば、Flavobacteriumの増加は異常な精液品質および形態異常と関連していた。Lactobacillusの増加はROSの低下と関連していた。
これらの関連は、健康な男性と男性不妊症患者の比較でも同様に観察された。
以上より、精液微生物叢の特徴は男性不妊症や習慣流産の有無に関わらず共通しているが、特定の細菌群の存在が精子機能の低下と関連することが示された。精液微生物叢は男性生殖機能の一般的な指標となる可能性がある。
統計
健康男性と比較して、男性不妊症、習慣流産、特発性不妊の患者群では、高いDNA断片化率、高いROSレベル、乏精子症の割合が有意に高かった。
細菌属Flavobacteriumの相対存在量が高いサンプルでは、異常な精液品質(p=0.0002, q=0.02)および低い形態正常率(p=0.0002, q=0.01)と関連していた。
Lactobacillusの相対存在量の増加は、精液ROSの低下と関連していた(p=0.04)。