核心概念
小容積器官の正確なセグメンテーションは、放射線治療計画において重要である。本研究では、V-Netモデルを用いて小容積器官の自動セグメンテーションを改善する手法を提案した。
要約
本研究では、放射線治療計画のための医療画像の自動セグメンテーションに取り組んでいる。
まず、50件の3D頭頸部CT画像を用いてV-Netモデルを開発し、20種類の器官を自動セグメンテーションできるようにした。その際、特に小容積器官である眼球レンズのセグメンテーション精度を向上させるため、以下の3つの手法を検討した:
画像の正規化範囲の最適化
V-Netの分類閾値の最適化
Mask R-CNNによる器官領域の自動抽出
これらの手法を適用した結果、眼球レンズのDice係数が0.39から0.61に、Hausdorff距離が5.1 mmから2.6 mmに改善された。さらに、別の17件の臨床データでも同様の良好な結果が得られ、本手法の汎用性が確認された。
また、自動セグメンテーションと手動セグメンテーションによる眼球レンズへの線量評価を行ったところ、ほぼ同等の結果が得られた。このことから、本手法は臨床現場での活用が期待できる。
本研究では、小容積器官のセグメンテーション精度を向上させるための具体的な手法を示しており、放射線治療計画の自動化に貢献できると考えられる。
統計
眼球レンズの最大線量は手動セグメンテーションで8.8±2.8 Gy、自動セグメンテーションで13.8±6.5 Gyであった。
眼球レンズの平均線量は手動セグメンテーションで5.2±0.9 Gy、自動セグメンテーションで6.0±1.5 Gyであった。