核心概念
伝統的なリスク基準では、BRCA1、BRCA2、PALB2の変異保有者の3分の1以上を見逃す可能性がある。全ての乳がん患者に対する遺伝子検査が必要である。
要約
この研究は、2019年9月から2022年4月の間に3つのカナダの医療機関で新たに浸潤性乳がんと診断された729人の女性を対象に行われた。
- 対象患者全員に遺伝カウンセリングを行い、17の乳がん感受性遺伝子の生殖細胞系列病原性変異の有無を検査した。
- 主要遺伝子パネルではBRCA1、BRCA2、PALB2を、オプションの二次パネルでは14の追加の乳がん感受性遺伝子を検査した。
- 全体の7.3%の患者に病原性変異が見つかった。うち5.3%が主要遺伝子パネル、2.1%が二次パネルの変異だった。
- 40歳未満、卵巣がんの家族歴、高悪性度、三重陰性乳がんなどが病原性変異の危険因子だった。
- 主要遺伝子変異保有者の34.3%、二次パネル変異保有者の85.7%は、従来のリスク基準では遺伝子検査の対象とはならなかった。
- 13人の患者ではBRCA1、BRCA2、PALB2変異が確認され、PARPi治療の適応となった。
- この結果を受け、50歳未満の全ての乳がん患者、三重陰性乳がん患者、両側乳がん患者、PARPi適応患者に対して、主治医主導の遺伝子検査を行うことになった。
統計
7.3%の患者に病原性変異が見つかった
主要遺伝子パネルで5.3%、二次パネルで2.1%の変異が検出された
40歳未満の患者では、病原性変異のオッズ比が6.83倍
卵巣がんの家族歴のある患者では、オッズ比が9.75倍
高悪性度の患者では、オッズ比が1.68倍
三重陰性乳がんの患者では、オッズ比が3.19倍
引用
"伝統的なリスク基準では、BRCA1、BRCA2、PALB2の変異保有者の3分の1以上を見逃す可能性がある。"
"13人の患者ではBRCA1、BRCA2、PALB2変異が確認され、PARPi治療の適応となった。"