核心概念
単一のCCR5デルタ32変異を持つドナーによる幹細胞移植が、HIV治療の新たな可能性を示した。
要約
本記事は、初めて単一のCCR5デルタ32変異を持つドナーによる幹細胞移植でHIV治療に成功した事例について報告している。これまでのHIV治療では、2つのCCR5デルタ32変異を持つホモ接合体ドナーが必要とされていたが、今回の事例では単一の変異を持つヘテロ接合体ドナーでも治療が成功した。
これにより、ドナー選択の幅が広がり、HIV治療の可能性が高まることが期待されている。研究者らは、この事例が「次のベルリン患者」と呼ばれるほど重要な意味を持つと述べている。
HIV治療の鍵となるのは、HIVリザーバーの枯渇である。今回の患者では、幹細胞移植から5年以上経過した後も、HIVのDNAやRNAが検出されず、CD4+およびCD8+T細胞数も増加していることが確認された。
研究者らは、CCR5の発現調整や遺伝子編集、CCR5阻害などの取り組みが今後のHIV治療に役立つと指摘している。しかし、単一のCCR5デルタ32変異でも治療効果が得られたことから、これらの取り組みに加えて、他の要因も治療に関与している可能性があると述べている。
統計
本患者は幹細胞移植から約6年間、HIVの再発なく寛解状態を維持している。
移植後、患者のHIVのDNAやRNAは検出されず、CD4+およびCD8+T細胞数も増加している。
引用
「これは私たちにHIVの治療法がまだ存在するという希望を与えてくれる」
「CCR5の発現調整や遺伝子編集、CCR5阻害などの取り組みが今後のHIV治療に役立つと考えられるが、単一のCCR5デルタ32変異でも治療効果が得られたことから、他の要因も治療に関与している可能性がある」