核心概念
無家族歴の成人における大腸がん検診の10年間隔を15年間隔に延長しても、大腸がんの発症率と死亡率が低く抑えられる可能性がある。
要約
本研究は、スウェーデンの全国レジストリデータを用いて、大腸がん家族歴のない45-69歳の成人における大腸がん検診の最適な間隔について検討したものである。
研究では、初回の大腸がん検診で異常所見がなかった110,074人の集団(exposed group)と、検診を受けていないか、検診で大腸がんと診断された190万人以上のコントロール群を比較した。
最大29年間の経過観察期間中、exposed groupでは484件の大腸がん新規発症と112件の大腸がん死亡が確認された。初回検診から15年以内の10年累積リスクは、コントロール群に比べ大腸がん発症が0.72倍、大腸がん死亡が0.55倍と低かった。
つまり、10年間隔から15年間隔に延長しても、1000人あたり2件の早期発見ができなくなり、1件の死亡を防げなくなる一方で、1000件の検診を回避できる可能性がある。
このことから、大腸がん家族歴のない集団では、現行の10年間隔よりも15年間隔の検診が推奨される可能性が示唆された。
統計
大腸がん新規発症数:484件
大腸がん死亡数:112件
初回検診から15年以内の10年累積大腸がん発症リスク(SIR):0.72
初回検診から15年以内の10年累積大腸がん死亡リスク(SMR):0.55
1000人あたり早期発見できなくなる大腸がん数:2件
1000人あたり防げなくなる大腸がん死亡数:1件
1000件の検診を回避できる可能性
引用
「この研究結果は、大腸がん家族歴のない集団に対して、現行の検診間隔よりも長い間隔を推奨する根拠となる」
「より長い間隔での検診は、必要のない侵襲的な検査を回避する上で有益である可能性がある」