核心概念
スケールフリーのリニアプロトコルを用いた多重エージェントシステムの同期化では、ネットワークに有向スパニングツリーが存在しない場合でも、基本バイコンポーネントの中では同期化が達成され、それ以外のノードは基本バイコンポーネントの同期化軌道の加重平均に収束する。
要約
本論文では、多重エージェントシステムの同期化のためのスケールフリーのリニアプロトコルについて分析している。
まず、ネットワークに有向スパニングツリーが存在する場合、既存の研究で提案されたスケールフリーのコラボレーティブおよび非コラボレーティブなプロトコルにより同期化が達成されることを確認している。
次に、ネットワークに有向スパニングツリーが存在しない場合の挙動を分析している。この場合、ネットワークは基本バイコンポーネントと呼ばれる強連結成分に分解される。
- 基本バイコンポーネントの中では、エージェントとプロトコルの状態が同期化する。
- 基本バイコンポーネントに属さないノードは、基本バイコンポーネントの同期化軌道の加重平均に収束する。この加重係数は初期条件に依存せず、ネットワークのパラメータのみに依存する。
このクラスタ同期化の挙動は、コラボレーティブおよび非コラボレーティブなプロトコルに共通して見られる。
統計
ネットワークのラプラシアン行列の固有値0の多重度が𝑘以上のとき、ネットワークには𝑘個の基本バイコンポーネントが存在する。
基本バイコンポーネントに属さないノードの状態は、基本バイコンポーネントの同期化軌道の加重平均に収束する。この加重係数は非負で、合計が1となる。