核心概念
はくちょう座ループの形態に見られる点対称性は、複数のジェットが星を爆発させるという、超新星爆発のジェットによる爆発メカニズム(JJEM)の予測と一致する。
本論文は、大質量星の超新星爆発によって形成される、はくちょう座ループ超新星残骸の形態を様々な波長で分析し、その形成メカニズムについて考察している。
観測結果
はくちょう座ループの紫外線および可視光画像には、南北方向に伸びる淡く細い構造が見られ、これを"S字型ホース"と命名。
このホースの南端にはよく知られたアウトフローがあり、北端にも反対側のアウトフローが存在する可能性がある。
X線、紫外線、可視光、赤外線、電波の画像から、中心に対して反対側に位置する突起部(耳またはバルジ)と穴(ノズルまたは空洞)を特定。
これらの構造は、3つの対称軸を持つ点対称の形態を形成しており、"風配図"構造と命名。
考察
これらの点対称構造は、超新星爆発時に発生する複数のジェットによって形成されたと解釈できる。
特に、S字型ホースは歳差運動を伴うジェットによって形成された可能性があり、はくちょう座ループの主ジェット軸と考えられる。
風配図構造を形成する3対のジェットは、一連のジェット噴出の最後の活動的なペアであると考えられる。
結論
はくちょう座ループの点対称形態は、超新星爆発のジェットによる爆発メカニズム(JJEM)の予測と一致する。
JJEMでは、新しく生まれた中性子星が物質を降着する際に、複数のジェットを噴出すると考えられている。
本研究は、JJEMがコア崩壊型超新星の主要な爆発メカニズムであることをさらに支持するものである。