核心概念
z∼3 の質量の大きい銀河では、光学的に厚い塵の吸収が一般的であり、銀河全体の星形成率と質量の10〜20%を占めている可能性がある。
要約
紫外線/可視光で明るい銀河の隠された側面:光学的に厚い塵による吸収の解明
書誌情報: Cheng, Y., Giavalisco, M., Backhaus, B. E., Bhatawdekar, R., Cleri, N. J., Costantin, L., Daddi, E., Dickinson, M., Finkelstein, S. L., Hirschmann, M., Holwerda, B. W., Koekemoer, A. M., Lucas, R. A., Pacucci, F., Pérez-González, P. G., Rodighiero, G., Seillé, L.-M., Whitaker, K. E., Yung, L. Y. A., Arrabal Haro, P., Bagley, M. B., Kartaltepe, J. S., Papovich, C., & Pirzkal, N. (2024). Unveiling the Dark Side of UV/Optical Bright Galaxies: Optically Thick Dust Absorption. arXiv preprint arXiv:2411.08100v1.
研究目的: 本研究では、z∼3 の質量の大きい銀河における、光学的に厚い塵による吸収の普遍性と、それが銀河の星形成率と質量の見積もりに及ぼす影響を調査することを目的とする。
方法: CEERS と PRIMER の観測データを用いて、log(M∗/M⊙) >10.3、2.5< z <3.5 の銀河を 486 個選出し、親サンプルとした。SED フィッティングに基づいて、近赤外線波長で過剰な光度を持つ銀河を、光学的に厚い塵の吸収の候補天体として特定した。さらに、空間分解 SED モデリングを実施し、これらの銀河内の光学的に暗い部分構造の物理的性質と、光学的に厚い塵による吸収量を推定した。
主な結果:
親サンプルの約 33% にあたる 162 個の銀河が、光学的に厚い部分構造を持つ候補天体として特定された。
光学的に厚い塵は、星形成率や形態の異なる、一般的な質量の大きい銀河に普遍的に存在することがわかった。
選択された銀河では、星質量/星形成率の 10〜20% が従来の方法では捉えられておらず、その割合は星質量や星形成率に依存しないことがわかった。
暗い部分構造は、一般的に銀河の他の部分よりも塵が多く、不規則に分布しており、近赤外線の過剰光源として、AGN が隠蔽されているという説とは矛盾する。
また、隠蔽された光度と、過去≲100 Myr 以内の爆発的な星形成活動との間に相関関係が見られた。
結論: z∼3 の質量の大きい銀河では、光学的に厚い塵の吸収が一般的であり、銀河全体の星形成率と質量の 10〜20% を占めている可能性がある。この結果は、初期宇宙における銀河の進化と星形成史を理解する上で重要な意味を持つ。
今後の研究: 本研究では、光学的に厚い塵の吸収が銀河の進化に及ぼす影響をより深く理解するために、分光観測や、より広範囲の赤外線波長における観測など、さらなる研究が必要である。
統計
z∼3 の質量の大きい銀河の約 33% に、光学的に厚い塵の吸収が見られる。
光学的に厚い塵は、星質量/星形成率の 10〜20% を占めている。
光学的に厚い塵の吸収は、過去 ≲100 Myr 以内の爆発的な星形成活動と相関がある。