核心概念
暗号化制御は、サイバー攻撃やデータ漏洩から制御システムの安全性と機密性を高めることを目的としている。本チュートリアルでは、代表的な同型暗号方式を用いた状態フィードバック制御とPI制御の暗号化実装を紹介する。
要約
本チュートリアルは、暗号化制御の実装に関する包括的な解説を提供する。
まず、同型暗号の概要と、Paillier、GSW、CKKSの各暗号方式の特徴を説明する。次に、状態フィードバック制御とPI制御の整数表現による暗号化実装について解説する。具体的には、制御入力や制御器状態の暗号化計算手順を示す。
数値実験では、Paillier暗号を用いた暗号化制御の性能を検討する。スケーリング係数の変化に対して、状態と出力の収束性が平文制御と同等であることを確認する。また、GSWやCKKSを用いた実装でも同様の結果が得られることを述べる。
最後に、本チュートリアルの拡張方向として、より高度な機能の実装、性能最適化、遅延の考慮、クラウドとの統合などを提案する。
統計
状態フィードバック制御の入力信号は、以下のように表現できる:
u(k) ≈ 1/s^2 * ⌊sK⌉ * ⌊sx(k)⌉
PI制御の入力信号と状態更新は、以下のように表現できる:
u(k) ≈ 1/s^3 * (⌊sKi⌉ * z(k) + ⌊s^2Kp⌉ * ⌊sy(k)⌉)
z(k+1) = z(k) + ⌊s∆t⌉ * ⌊sy(k)⌉