核心概念
本論文では、線形および非線形層を効率的にモデル化する新しいアルゴリズムを提案し、差分および不可能差分伝播を自動的に探索するツールを開発する。
要約
本論文は、対称鍵暗号の暗号解析における重要な課題である差分解析と線形解析に取り組んでいる。
まず、非線形層のモデル化に関して以下の2つの新しいアルゴリズムを提案する:
グリーディーランダムタイブレーカーアルゴリズム: 従来のグリーディーアルゴリズムにランダムタイブレーカーを導入し、より最適な不等式セットを見つける。MIBS、LBlock、Serpentなどの4ビットSBoxに対して、既存の手法よりも少ない不等式数を達成した。
サブセット加算アプローチ: 既存の不等式に基づいて新しい不等式を生成し、それらを組み合わせることで、より最適な不等式セットを見つける。Minalpher、LBlock、Serpent、Prince、Rectangleなどの4ビットSBoxに対して、既存の手法よりも良い結果を得た。また、5ビットSBox(ASCON、SC2000)や6ビットSBox(APN、SC2000)に対しても、より少ない不等式数を達成した。
次に、線形層のモデル化に関して、XORゲートを効率的に表現する新しいモデルを提案した。この新しいモデルは、計算効率の面で既存のモデルよりも優れている。
最後に、与えられた暗号の仕様に基づいて、差分および不可能差分伝播を自動的に探索するツールを開発した。このツールは、SPN型ブロック暗号に対して、ユーザが指定した回数の回数に渡る差分特性を最小化し、不可能差分特性を発見することができる。