核心概念
多アンテナ小型基地局が単一アンテナユーザに対して共有周波数帯で非同期共同送信を行うことで、システムの容量を向上させる。
要約
本論文では、密集小型セル (DSC) ネットワークにおいて、多アンテナ小型基地局 (SBS) が単一アンテナユーザに対して非同期共同送信を行う問題を扱う。非同期共同送信を用いることで、ユーザは複数の協調SBSから信号を受信できるため、容量が向上する。しかし、非同期共同送信の合計レート最大化問題は非凸かつNP困難である。既存の最適化ベースの非同期共同送信アルゴリズムは近最適性能を提供できるが、大域的チャネル状態情報 (CSI) と多数の反復計算を必要とするため、DSCネットワークへの実装が困難である。
本論文では、まず、合計レート最大化問題と送信電力最小化問題の最適ビームフォーミング構造が同一であることを証明する。次に、送信電力最小化問題を解くことで、両問題の最適ビームフォーミング構造を導出する。この最適ビームフォーミング構造は変数の次元を大幅に削減する。提案手法では、この最適ビームフォーミング構造を活用し、深層決定性方策勾配 (DDPG) に基づく分散非同期共同送信方式を提案する。各SBSは大域情報を用いて学習し、局所CSIを用いてビームフォーミングベクトルを決定する。シミュレーション結果より、提案手法は中央集権型の反復最適化ベース手法と同等の性能を達成しつつ、計算複雑度と情報オーバーヘッドが大幅に低いことが示された。
統計
各ユーザkに対するSBS jの送信ビームフォーミングパワーpj,kは、以下のように表される。
pj,k = αj,k/(Σn∈Kαj,nαj)Pmax
SBS jの最適ビームフォーミング方向ṽj,kは、以下のように表される。
ṽj,k = (INt + Σn∈Kλn/σ2hH
j,nhj,n)−1hH
j,k