核心概念
自動運転における動作予測の精度向上のために、シミュレーション環境から実世界への転移学習手法を調査し、計算時間とパフォーマンスのトレードオフを明らかにする。
要約
本研究は、自動運転における動作予測の精度向上のために、シミュレーション環境から実世界への転移学習手法を調査したものである。
まず、動作予測の基盤となるMotion Transformer (MTR)モデルについて概説した。MTRは、目的地の予測と局所的な動作の精緻化を統合した transformer ベースのアーキテクチャであり、現在の動作予測研究の基盤となっている。
次に、転移学習の手法として、マルチタスク学習(MTL)、特徴量の再利用(FR)、fine-tuning(FT)の3つを選定し、Waymo Open Motion Datasetを出発点(ソースデータセット)とし、CarMaker Datasetを目標(ターゲットデータセット)として検討を行った。
評価の結果、FTが最も良好な結果を示し、特に encoderのみのFT(FTE)が計算時間の大幅な削減と僅かなパフォーマンス低下で実現できることが分かった。一方、MTLではソースデータセットとターゲットデータセットの間で十分な性能向上が得られなかった。
これらの結果から、動作予測モデルの一般化能力向上には、encoderの更なる改善が重要であると考えられる。また、より大規模なデータセットや異なる交通環境、法制度の違いなどを考慮した検討が必要であり、産学連携によるデータ収集が課題として挙げられる。
統計
自動運転における動作予測の精度指標として、平均精度(mAP)、最小平均変位誤差(minADE)、最小最終変位誤差(minFDE)、見逃し率(missRate)が使用されている。
引用
"自動運転における動作予測の精度向上のために、シミュレーション環境から実世界への転移学習手法を調査し、計算時間とパフォーマンスのトレードオフを明らかにする。"
"encoderのみのFT(FTE)が計算時間の大幅な削減と僅かなパフォーマンス低下で実現できることが分かった。"