核心概念
モリブデート添加は、養殖池底部における硫化物の生成を部分的に抑制し、硫化物の水中への移行を遅らせることができる。
要約
本研究では、養殖池底部における有機物の蓄積と硫化物の生成を模擬した実験モデルを用いて、モリブデートの添加による硫化物抑制効果を検討した。
- 実験開始時に30日分の有機物を添加し、その後61日間にわたって2-3日ごとに追加した。
- モリブデートを5 mg/Lと25 mg/Lの濃度で添加し、無添加の対照区と比較した。
- モリブデート添加区では、対照区と比べて、底泥中の硫化物濃度が低く、硫化物の水中への移行が遅延した。
- 特に25 mg/Lのモリブデート添加区では、硫化物生成が大幅に抑制された。
- 微生物群集解析の結果、モリブデート添加区では硫酸還元菌の相対的な割合が高くなったが、絶対的な細胞数は低下していた。
- これは、モリブデートによる硫酸還元酵素の不活性化が原因と考えられる。
- モリブデートは養殖池底部における硫化物生成を抑制する有効な手段となる可能性がある。
統計
水中の溶存酸素濃度は、実験開始後35日目以降、全ての処理区で完全に枯渇した。
実験開始後35日目の水中の硫化物濃度は、対照区が64 ± 7 μM、5 mg/Lモリブデート区が53 ± 11 μM、25 mg/Lモリブデート区が39 ± 3 μMであった。
実験終了時(61日目)の残存モリブデート濃度は、5 mg/Lモリブデート区が5-15%、25 mg/Lモリブデート区が53 ± 1%であった。
引用
「モリブデート添加は、養殖池底部における硫化物の生成を部分的に抑制し、硫化物の水中への移行を遅らせることができる。」
「特に25 mg/Lのモリブデート添加区では、硫化物生成が大幅に抑制された。」
「モリブデートは養殖池底部における硫化物生成を抑制する有効な手段となる可能性がある。」