核心概念
高周波帯LoS広開口MIMOシステムにおいて、ハイブリッドアーキテクチャの制約下で最大の空間多重化利得を達成するための最適なアンテナ配置と低複雑度のアナログ・デジタルビームフォーカシング手法を提案する。
要約
本論文は、高周波帯(THz、サブTHz)におけるLoS(直接波)優位な広開口MIMO通信システムの設計に関する研究成果を報告している。
まず、ハイブリッドアーキテクチャ(アナログ処理とデジタル処理の組み合わせ)を採用したLoS広開口MIMOシステムの最大スペクトル効率の上限を導出する。この上限は、アンテナ配置によって決まる固有値分布に依存することを示す。
次に、この上限を達成するための最適なアンテナ配置を明らかにする。平行な平面アンテナアレイの場合、アンテナ間隔を適切に設定することで、利用可能な空間多重化利得を最大化できることを示す。さらに、アンテナアレイが任意の角度に傾いた場合でも、最適な配置を導出する。
最後に、提案のアンテナ配置に基づいて、低複雑度のアナログ・デジタルビームフォーカシング手法を提案する。この手法は、LoS広開口MIMOチャネルの固有ベクトル構造を活用することで、高速な信号処理を実現しつつ、最大スペクトル効率に迫る性能を達成する。
シミュレーション結果により、提案手法が既存手法に比べて大幅な性能向上を実現することを示している。
統計
LoS広開口MIMOシステムの最大スペクトル効率は、以下のように表される:
Ns log(1 + ζPt/σ2
n · NM/N2
s)
ここで、Nsは送信データストリーム数、ζは経路損失、Ptは送信電力、σ2
nはノイズ分散、NとMはそれぞれ受信機と送信機のアンテナ数を表す。
引用
"高周波帯の利用拡大には、大規模アンテナアレイを用いたMIMO技術が不可欠である。"
"LoS広開口MIMOシステムの最大スペクトル効率は、アンテナ配置によって決まる固有値分布に依存する。"
"提案のアナログ・デジタルビームフォーカシング手法は、LoS広開口MIMOチャネルの固有ベクトル構造を活用することで、高速な信号処理を実現しつつ、最大スペクトル効率に迫る性能を達成する。"